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7.日本語について[1]
                                



歌を反対から歌えるという中高年の女性がテレビに出ているのを見たことがある。名人級だった。ホントに素晴らしいと思った。どんなに褒めても褒めたりないが、それは兎も角として、僕はそこに日本語のある種の特性をみたような気がして面白かった。 おばちゃんは、歌詞を反対から歌うのであるが、単純に歌詞をひらがな(或いはカタカナ)に戻したものを反対から歌うのではなかった。所謂アブクド読みと言うか、桑田佳祐が歌うような発音にして、つまりアルファベッドに分解してから、それを逆に歌っているのだ。そうやって、初めて、巻き戻して聞いたときに、正常な歌詞(日本語の言葉)として、人々が聞くことが出来るのだ。桑田がするような発音を美和明宏などは、そんな言葉はとても美しい日本語とは言えないなどと嘆いていたが、それもそうかもしれない。僕も最初にあの歌を聞いたとき、違和感を禁じ得なかった。しかし、或る意味で桑田は音楽家として耳が研ぎ澄まされていて、音そのものを純粋に掴まえていたのかもしれない。彼は作詞家としても優れていると思うが、折角の歌詞が日本語としては不鮮明でとてももったいなく思ってしまう。(つづく)


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