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77.スピーチ
                                



たてや君、はづきさん、ご結婚おめでとうございます。

そして御両家の皆様、心よりお祝い申し上げます。

私は新郎とは中学時代に知り合い、高校時代も同じ学校に通いました。大学こそ異いましたが、同じ東京の地で学生時代を過ごし、友情

を深めてきた仲でございます。食品メーカーに就職した新郎は札幌、薬品会社に入社した私は福岡に配属され、その後お互い転勤も何度

かありましたが、手紙やメール等により連絡をとりあっていました。けれども、新婦のお顔を拝見するのは実は今日が初めてなのです。

新郎は、中学時代に剣道を始め、高校時代には県体個人戦で一度優勝し、それ以外でも4位以下になったことはありません。彼の剣道に

は、コテもドウもありません。あるのはメンだけでした。新郎は真っ直ぐな男です。小細工は大嫌いでした。真っ直ぐ相手の頭に振り下

ろす剣。それしかありませんでした。“メ〜〜ン!!”この一本だけです。

たてや君はただ強いばかりでなく、優しい一面がありました。私が、彼のアパートを訪ねますと、必ずご馳走してくれました。ホントに

おいしいラーメンでした。たてや君の部屋には、いつもインスタントラーメンが本棚に山積みになっていました。貧乏学生の私には羨ま

しいかぎりでした。たてや君は、根っからの“メン食い”だったのです。ごらんのように美男子で優しいたてや君、もてないはずがあり

ません。彼を慕う女性は星の数を超えていましたが、“メン食い”の彼のメガネにかなう女性は学生時代、一人としていませんでした。

「やっと見つけたな!!」私は、たてや君から朗報を聞いて、即座に思いました。「メンはのびてからでは美味くない」・・・さすが新

郎、大阪に転勤になってわずか2箇月半の速攻・・・・・。“メン食いの中のメン食い”では・・・

・・・・ええぇ〜〜・・・そのう・・・ええ・・・・・・・・あのう・・・・・・

ええい!! もう・・ビリビリビリ ・・・(役にたたない。この紙切れ・・せっかく苦労して書いてきたのに)ここからは、アドリブ

でいきます。

ああ、何と言いましょうか・・・人は変わらないように見えて・・・そのう・・

新婦のお顔を拝見いたし、新郎の成長を知りました。実を言いますと、とび上がらんばかり、びっくりしました。親友ながら・・・まさ

か、これほどまでにせいセイチョウしてくれていたとは・・・。・・・ちょっと、会場が暑くて・・すみません。顔がぽっぽしてきまし

た。本当によいお日がらで・・・・そんなわけで、たてや君は本当に信頼できる、生涯かけがえの無い親友だと思っています。

本日こうしてお二人が並んで座っていること、そのお祝いのスピーチを私ができたこと。本当に心からうれしく思っています。

新婦は料理が大変お上手だときいております。恐らくこれからは、麺類以外のメニューの方が多いかと存じますが、どうか、お二人で

力を合わせて明るく笑いの絶えない家庭を築いてください。以上を持ちましてお祝いの言葉とさせて頂きます。

たてや君、はづきさん!本当におめでとう!!






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