長い間お世話になりました。あなたの心にぽっかり空いていたこのウロがあたしの住処でした。素敵なおうちでした。時々、あなたの涙がこのウロに流れ込んできて、いっぱいに溢れたりもしました。そんな時、あたしは溺れそうになりながら、あなたの好きなあの歌を奏でて励まそうとしました。あなたはすすり泣きながら歌い始め、時々、怒鳴るような叫ぶような大声をはりあげるのです。そんなあなたが好きでした。あなたもあたしのことを「理想の女性」と・・。そうです・・あなたの理想・・それがあたしだったのです。あなたの彼女があたしに限りなく似た人なのか、似ても似つかない人なのかは知りません。でも、このウロがだんだん閉じていくのが、あたしにはよく解るのです。もうこれ以上狭くなればあたしの居場所はなくなります。さようならに代えて最後の竪琴を奏でましょう。あなたのあの歌のために。
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