黒い曲線

 

 

 

ようやく波打ち際まで追い詰めた

おまえの棲家はこの石垣の隙間だとでも言うつもりか

紅い爪を向けて必死の防戦とはけな気だな

そんなにこの俺が憎いのか

そりゃあまあ何度かおまえを殺したには殺したが

みんな悪気があってやったことじゃないんだ

よく見てみろよ俺の眼が獣の眼かどうか

おれの腕をそのか細い爪で挟んだところで蚊に刺されたほども感じねえぜ

わかったら諦めて一つだけ教えてくれ

おまえはこの闇が曳く透明な影に今更何を隠そうとしているのだ

俺が欲しているものは殺しても奪いとることができないものなのか

 

 

 

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