第3回粉ころ菓詩大賞 借金賞受賞詩 

 


 
縮 図
伊三

                                                             2003.11.16 受賞



注がれたビールと泡

焼き肉屋のタレの芳ばしい匂い

三本目を注文した

勘定の計算式が頭をよぎる

テレビコマーシャルが流れてくる

三世代住宅

楽しげな笑顔

そしてニュースは児童誘拐

借金地獄と自爆テロ

世界は縮図だ

縮図の拡大無限に続き

切り取り

繋ぎ合わされ

パステル調や極彩色

便利だからカッコイイと

縮図の中でうごめく僕ら

僕はそれでも縮図を厭う

























 

 

 

第3回粉ころ菓詩大賞 年金賞受賞詩 

 

君の名を思い出すのにしばらく時間がかかったよひあみ珠子


 
                                                             2003.11.16 受賞

 

 

 

血と養分のDNA

どっぷり浸かってはや10年

忘れるためのもう10年

思い出すのにまた10年



サナギの殻を脱ぎ捨てるため

偶然見かけて息止め2秒

再び見かけるプラス3秒

毎日目で追うチクタク チクタク・・・



再構築の地盤も知らず

再発見の約半年

やっぱり馴染めぬ同じ年月(としつき)

見てみぬふりのひとつ年

来た道たどる幾年月



だぁれもだぁれも気付かずに

ゆるくて強いらせん階段

あっちへ渡れば

こっちへ渡る

真綿の詰まった部屋の中



我が物顔してまた10年

忘れ物したよなさらに10年

黙りこくってあと10年

祭のあとの暗い闇ーー

遠くで双葉の殻破く音