第2回粉ころ菓詩大賞 18金賞受賞詩 不真面目で誠実なメビウスの輪 ひあみ珠子
2003.10.4 受賞
不真面目で誠実なメビウスの輪 - ひあみ珠子
不真面目だもので もう片方の頬を出すなんて 危険な賭けは避けている 逃げ足だけは速い方がいい 冷めないほとぼりは ニンフ達が取り囲む 冷たい湖の鱗で鎮めてくれる それまでの間 逃げるだけ 謝るのならそのあとで 誠実だもので 旅をしたら必ず家に帰ってる 日帰りかもしれないし長旅かもしれないけど 帰ってくるのだから 何かを棄ててきたわけじゃない お世辞は言わせるだけにして 白鳩の羽根より軽い軽いウソだけど いたずらな小人が雪だるまの核にする 雪だるま爆弾 標的は罪の無いウソツキ 不真面目で誠実 不真面目な上に誠実 矛盾はメビウスの輪でつなげて