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14.老
                                



桜の冠を被った黄金山を横目に車を走らせた。相変わらずの病院。病人よりもけが人よりも、老人が目に付く。母親がエコーをとっている間、廊下の絵画に目を遣っていたが、ふと、その前を歩く目鼻立ちのくっきりした老女が目に入った。一瞬、学生時代の先輩の顔に見えた。そしてその顔には紛れもない老人斑があった。勿論、こんなところに彼女がいるわけはない。そしてまだ、そんな歳でもない。だが、最近、そうした恐れが時々自分を襲う。今まで、老病死のうち老に対して、こんな風な恐れを感じることはほとんどなかった。しかし、それは必ず現実のものとなる。生きている限りはだ。一定の年齢を過ぎて生きるということは、刻々と老いつつ、そしてその老いと闘いながら生きるということに他ならないのだ。


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