あなたの詩が読めないの
たった 10行ほどの詩なのにね
文字を辿ったら
活字が ぶくぶく膨らんで
何かが むくむく湧いてきて
ロックの腰つき セクシーすぎよ
ぱちんと弾けて 蒸気になっちゃった
フロントガラスの内側
貼りついた 心づくしのあなたの詩
わたしのために創ってくれた
たった 10行ほどの詩だからね
ワイパーでひとふり
扇形の窓のむこう
溺れかかった夕日の叫び
誰かさんの声みたい
心づくしの詩だってね
わたしのために創ってくれたんだって
ほんと?
でも やっぱり わたしじゃ読めない
むくむく湧いた 蒸気のむせび
わたしの心をするりと抜けて
フロントガラスをするりと抜けて
ワイパーに弾かれ
きっと誰かさんのとこへ 飛んでいくわ
ワイパーのひとしずく
わたしのじゃない
誰かさんの涙
ひとしずく
たった 10行ほどの詩だものね