祝辞

 

 


私はあなたが嫌いです

何故なら あなたは臭くて喰えません

スカンクだって逃げるでしょう

あなたの奥さんが逃げ出さないのは

世界の七不思議の一つです

あなたを切るナイフがありません

チョコレートよりも粘っこいどす黒い血は

どんな切れあじの良いナイフでも

一瞬にして錆付かせてしまうでしょう

あなたは自分の肥満に押しつぶされる

恐怖を毎日感じていたのかもしれませんが

私はあなたの顔をみるだけで

夕暮れ時のどしゃぶりの憂鬱に襲われるのです

私があなたにぶっつけた怒りは

あなたの巨体に跳ね返されて

こなごなになって私の胸に突き刺さり

飛散した破片は夕闇の中から

ヘッドらライトが見つけだして

ご丁寧にも私に返してくれるのです

あなたを上司と呼ぶようになってから

もう何年経ったでしょうか

私は毎日腹ぺこでひもじい思いに泣きました

その度に

あなたを食ってやろう そう思っていたのです

今の今まで ついさっきまでにそう思っておりました

本当に長い間 よくぞご無事で

奇跡的にも ご定年をお迎えになられました事

部下を代表して 心よりお祝い申し上げます

本日は 本当に おめでとうございます

 

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