中二の夏

 

 

今の俺より 6歳若かったはずの父

俺の眼を見て 漏らした言葉

人間 一度は 死ぬものだ

内では 癌の宣告を受け

外では ヤクザと闘っていた

日本刀の抜身にも怯まなかった父が

なんと あっけなかったことか

俺は この夏

息子に 確実に 背は追いつかれる

だが 腕相撲だけは まだ 負けられない

あの 悲しさを与えるのは

ばか息子には 十年早いのだ

あの時

父は 俺に負けたわけではなかったのだから

 

 

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