陽射

 

 

 

化粧の下からニキビが一つ

顔を出してけらけら笑っていた

僕はいつものように助手席に乗る

このまま二人が 今晩帰らなかったら

みんな何ていうかしら

音楽のボリュームをあげる

悪い冗談が

熱気と一緒に車の窓から消えてゆく

何かが追っかけてくる気配を感じながら

横顔を見る

きりっとした眉が弓を引いている

彼女の放つ矢は いつも当たり矢だ

夏は

車から降りたミニスカートの肢体を

線だけで描きだしていた

 

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