病床のお爺ちゃんが言った おまえ 大きくなったなあ あの庭石を どこまで持ち上げることができる さあ と僕は答えた 従妹の洋子が顔を覗きこんでいるように思えた わしが若い頃には 胸まで持ち上げることができた わしの父親 おまえのひい爺さんは 頭の上まで持ち上げることができたぞ 夜になって こっそり 庭に出た ぴくりともしなかった 抜けそうな腰というものの存在を 身をもって確信したのだった
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