背中

 

 

朽ちた家々が寄り添うように

隙間風がひゅ〜るり

一枚の絵になって するするとしのびこむ


・・・おお ふうちゃん また 来たかや

・・・ばあさん きゅうりの酢の物があっただらが

・・・これ食べえだがね おいしいよ

・・・よもよも こげによけ トンボ捕っただかね

だんだん おいしかったよ ばあちゃん

・・・よもよも 大きんなって お礼が言ええやになったかね 

・・・よもよも そげか そげか 

・・・ふうちゃん あしたの祭り 行かこい おんぶしちゃあぞ

だんだん じいちゃん

・・・よしよし てぼたん 買っちゃあけんな あした 行かで


あしたが  鏡のトンネルを潜ったら

ぼくの代わりに  子供たちの手に てぼたんが燈って

ぱっ ぱ ぱ ぱ  ぱっ ぱぱぱぱぱぱ ぱっ  

しだれ柳の途中で 小さな火の玉が  

背中の影に ぽとん


めらめらと 

めらめらと 燃え上がって

ぱっ ぱぱぱぱぱぱ ぱっ

 

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