時を踏む

 

 

 

獣たちの 逃げ惑う気配 


鬼ヤンマの顔が 深緑色の果物になって 

梢にぶらさがっている 森の隙間から

瞳に 赤い炎を宿した

ほの白い 少女の肢体を 垣間見た


時を踏みしめる裸足


足音ひとつ残せない 儚さが

今も まっすぐに 歩んでゆく


放心した 影

 

 

 

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