ポーカーフェイス

 

 

ピアノに溶け

リズムを蹴る

ハードル越え

時空をすり抜ける


透明に煌く馬


きみの香水と

ぼくの煙草の香り


捩れて

抱き合って

宙に舞い

枯葉と散っていった

あの歪んだ忘却


顔が 心から 離れてゆく

心が 顔を 顧みようともしない


冷たく潤んだ 空洞だけが

テニスボールの 弾力をもって

弾ける


希望の影を踏む 足音が

時の川面を叩く 狂気が

伽藍洞に 木霊している


決して 重なる事は無い

二人の 記憶


気付かれることもなく

このポーカーフェイスは デスマスクに変わるのだろう


虹色に煌いていた あの馬に跨って

夢のフィールドを 駆け巡っていたあの頃


この泥酔も

記憶の底に沈殿した 愛の残滓さえも

呼び起すことはできないでいる 

宵闇


あの甘酸っぱい

あの懐かしい景色から

いっそ きみの姿を消してしまいたい


透明に煌く馬に鞭打たせて

今度は ぼくに 何処へ向かえというのだ

 

 

 

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