せめて ピンクのスカーフが 欲しかったわね だって 私には 翼がないんですもの あなたは いつも 私の うなじだけを 見つめていたわね 唇が開けなかったのは あなたの 視線のせいだったのよ 漁火の向こうで 微笑んでるのは 誰だったのかしら 舟は 一艘しかなかったの 蒼白い顔をした 三日月の呟きは 今も気だるそうに 寄せているのかしら あの 寒い 夜の波打ち際に
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