漸く見つけた酒場

 

 


オレンジ色の灯りがボトルにはね返されて

盛りを過ぎた女を斑に照らし出している

樫の棍棒で打ちつけられるのを嫌って

体内の血管が悲痛な顔で駆け巡っているのだが

とうに逃げ場を失っている

眠りから覚めた少女のような大きな瞳と

魔女でなければとてもできない化粧法の前に

俺は猫の前の鼠にされてしまっている

山の彼方に飛び立っていた小鳥が

草や木や風や雲さえ嫌になって 戻ってくるとしたら

おおかた こんな酒場だろう

漸く 俺はここを見つけたのだから

 

 

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