栗の木

 

 

車窓に映る廃坑は

まるで 古代遺跡だ

町並みは 静に

朽ちるのを待っている

降りてみよう

やかんが一つ 転がっている
 
細道を下りて行くと

嘗て 畑だったと思われる叢に

栗の木が一本

なんとも人懐っこい顔をして

イガの実を 一つ

ポトンと
 
僕の前に差し出した

 

 

 

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