ウイリアム・ワーズワス(1770〜1850)[抒情歌謡集]
詩を、人間の本質的かつ永続的な思想感情の表現とするため
@ 題材を田舎の人々の平常な生活にもとめること(18C流行の都会の裕福な階級の生活やセンセーショナルな事件に求めない)
・ ・・我々の基本的な感情はいっそう素朴な状態で存続するために、いっそう正確に観察され、いっそう力強く伝達されうる。そう
いう環境においてこそ、人間の情熱は美しく恒久的な自然の姿と一体になっている。
A 田舎の素朴な人々が実際の会話に使っている言葉を用いる(当世紀英詩特有の「詩語」や擬人法を避ける)
・ ・・この人々は、最善の言葉が派生する源である最善の事物と常に交わっているからである。社交上の虚栄心に動かされずに、自分
たちの情感や考えを素朴で飾りの無い表現で表すからである。
詩とは次のものではない
A.いたずらに感情を揺さぶるような外的事件の感動に発するもの
B.哲学的真理や教訓を説くもの
C。社会や人物の風刺を狙うもの
詩作の根本的動機は「詩人が感動状態にあるときの、その心の動きを力強く表現すること」である。
(それが以後の英詩の重要な底流の一つとなった)
http://www.cnc.chukyo-u.ac.jp/users/egakkai/topics/kaiho/kaiho11/Iwata.html
http://www.hamajima.co.jp/osa/koten/england.shtml
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ohgai/4174/poetry-log/poetry-wordsworth.htm
詩において私が企てた主要な目的は、生活の出来事のなかに、これ見よがしにでなしに真実に即して、
そして主としてわれわれが感動状態にあるときの観念の連想の仕方に見られる人間性の根源的な法則
をたどり、それによって、それらによって、それらの出来事を興味深いものにすることであった。
詩とは力強い感情がおのずから溢れ出たものだ。そして詩は、静かな気持ちでいるときに思い起こされ
た情緒に発する。
詩人たるものは、自然の教えに習って、読者に対してどんな強い感情を伝えるにしても、その読者の心
が健全で活力に満ちている場合には、その感情には常にその感情を上回る喜びが伴うよう、特に注意す
べきなのである。
その喜びこそが、深い激情の力強い描写に必ず入り混じる苦痛を和らげるのに最も重要な働きをするの
である。この効果は哀切で情熱的な詩にいつも生み出される。
散文と韻文という二種類の描写が、それぞれ見事な出来栄えを示しているときは、散文の一回に対し詩
の方は百回も読まれるであろう。