ジャン・モレアス(1856〜1910)
教訓、美辞麗句、偽りの感性、客観的叙述、こうしたものの敵である象徴詩の目指すところは、
観念を感覚に訴える形式で覆うことにある。感覚に訴える形式といっても、それはしかし
象徴詩そのものの目的ではなくて、観念を表してはいるが題材であることに変わりはない。
一方観念はどうかといえば、外部からの類推を断ち切った姿を露呈してはならない。
何故なら、象徴芸術の本質をなす性格は、観念そのものの概念にまで行くことはけっしてない
ということに存するからだ。様々な現象は、目に見える外観でしかなく、それも根底にある
観念との秘められた血縁関係を表すべき宿命にある。