アンリ・ミショー(1899〜1984)
僕は詩の作り方を知らない。自分を詩人だとは思わない。
僕は詩歌の中に特に詩を見出すことはない。こんなことを言うのは僕が最初ではないのだ。
詩は、それを恍惚と呼ぼうが、発明、音楽と呼ぼうが、常に、どんなジャンルにも見つかる
予測不能なものであり、忽然たる世界の拡大である。
詩の密度は、一幅の絵、一枚の写真、一見のあばら家において一層濃密なことだってあるのだ。
詩歌で腹立たしく不愉快なのは、自己陶酔と瞑想三昧(という二つの袋小路)、あの退屈な自己欺瞞、
そして最後に一番たちの悪いのがわざとらしさである。
そもそも詩は自然の贈り物、恩寵であって、仕事ではない。
詩歌を作ろうとする野心だけで、詩歌を殺すに充分なのだ。
悪魔祓い、つまり破壊槌による必死の反発、これは囚人の本当の詩である。