あいつの顔をした青年達が群がる街角で

 

白昼 すっぴん誘われた

 

 

美術品売り場の奥 鏡の向こうには 屈折した横丁

 

 

声が聞こえてくる

 

 

道ばたにしか咲いていない花を知っています 求めています

 

どこの道かわからないので この道を歩いています

 

夕方の空に 透き通った 蒼をみつけたのです

 

くすんだ山に あかい柿の実が

 

明るい空に 黒い影の実が

 

歩くたびに ひとつ ふたつ 落ちてゆきます

 

 

あのひとの青春の枝は もっと ごつごつした木だったはず

 

途轍もなく 大きな幹から 延びていたはず

 

 

落日に貼り付けられた 今日の山の麓

 

微動だにしない頼りな さ

 

 

肉桂の枝をくわえて

 

日だまりで ふるえている

 

 

 

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